こんにちは。11月14日、Quoraの日本版サービスが正式に開始しました。その次の日に、Quoraユーザーのmeetupに行ってきたので、そこから見えてきたQuora日本版の現状についてまとめてみようと思います。備忘録的な記事ですが参考になれば。ハイレベル知恵袋は根付くのか?
Quoraとは?
Quoraの創業は2009年。Facebookに創業当時から関わったAdam D’Angelo氏(以下アダム)が起業しました。当時から学術的、知的な知恵袋として実名制など、クオリティ管理を行い(最初は招待制だったそうです)、オバマの語るイラン交渉など、他の知恵袋とは一線を画すQ&Aコンテンツを持ちます。FacebookCOOのシェリル・サンドバーグ氏やカナダ首相のジャスティン・ドルドー氏なんかも参加してますね。
長らくマネタイズに消極的でしたが、英語版では去年から広告を始めました。今年には大型調達も行いユニコーンの仲間入りをしています。
Meetup!CEOアダム登場とQ&A
先日原宿某所で行われたMeetup。大体30人ほどが参加していました。アダムがいれば、運営のスウェーデンのコンサルの人、ユーザーには中国人も複数人いて、国際的です。
アダムさん登場。「Quoraが最初成功したのは、最初限られた人数に制限し、クオリティをハイレベルに保つことを工夫したから。だから日本でもまずは限られた人数のβ版から始めた」と、ベータ版から参加するユーザーたちをねぎらいます。
日本進出については、アダムも日本が好きだということに加え、「日本は質を大切にする風土。Quoraのカルチャーに合うと思っている」と言及。
Q&A記録
歓談の後、アダムに対するQ&Aがありました。一つ一つピックアップしていきます。
Q.Quoraのマーケティングプランについて
A.初めは質の高い回答をベースとして、それに共感してくれる人を呼ぶことでグロースしていく
抽象的な回答。とりあえずは急拡張せずに知ってる人ベースでコミュニティを作っていくよう。
Q.Quoraに回答をするメリットとは?
A. 書くことで考えを整理する人、社会や人の助けになりたい
人。自己ブランディングも(回答によって仕事を得たり、VCの投資を得た人も)、仲間を作りたい人などなど。自然なモチベーションを盛り上げたい。
知乎で回答する中国人曰く、中国版Quoraの知乎でも、企業の人事が回答を見ているケースもあるそうでした。Twitterなどに比べ、学生の知識や考え方を効率よく知れるメリットはありそうです。
Q. なぜこの時期に日本進出?
A. ヨーロッパでの展開が一段落した。日本は大きなマーケットで、質を求める姿勢は我々と共通する。
Q. 日本にしか受けない質問もあると思う。例えばYahoo知恵袋なんかでは大喜利もある。そこをどう思うか。
A. どんどんジョーク書いていい。人を不快にさせなければ。
提案型の質問をした人が。アメリカ版でもジョークの投稿はあるそうです。
Q. 英語版は著名人が多いが、日本版ではどう呼ぶ?
A.英語版でも著名人のリクルートはしていない。英語版でも著名人が増えたのは2年後くらい。もちろんアウトリーチはしていきたい。
Q. 現段階のQuoraには回答しづらい質問が多い。(「牛乳は体にいいのか」とかなど。)解決ではなく討論を求めてるのか?
A. 英語版では、解決も議論もある。(ただ、今はβ版でコミュニティが小さく運営が英語版を日本語に訳したものも)回答より質問が難しい。だからこそ質問してもらえると嬉しいです。
Q. 質の高いコミュニティ維持のためにしていること
A. 実名性、回答へのlikeによってQuoraが認識して上に持ってくる、機械学習とパーソナライズによって質問のリーチを工夫、同じ内容の質問をプラットフォームで統合
これに加えて、初期は人数の制限や招待制もありました。
Q. Quoraのマネタイズはどうなっているのか
A. 英語版では去年から広告を始めた。質問に関係する(helpfulな)広告が各質問につくようにしている。日本版は成長するまでする予定はない
Q. 差別的な質問、有害な質問をどう判断して排除する?(座間での事件を念頭に)
A. 報告システムあり、機械学習による発見に加え専用のチームもいる。
自殺に関してはホットラインに繋いだり特別な対応もある。
質問はここで終了。
Quora日本版は成功するか?
その後、日本版スタッフのフリーデンバーク桃江さんとの会話も踏まえ、現状と課題について、1ユーザーとして思ったことをまとめてみます。
1. 日本版スタッフは人不足?
現状の日本版スタッフですが、なんと桃江さん1人しかいないとのこと。宣伝はスウェーデン系外資企業のPRに任せていたり、管理者も外部委託したりと、基本的には外部含めてのチームが回しているということで、Quoraコミュニティのマネジメントはほぼ桃子さんに任されている印象でした。
フリーデンバーグ桃江さんは、上智大学を卒業後、ホームページ制作サイトの「Wix」コミュニティマネージャを務めるなど、顧客エンゲージメントの強化、企業のブランド力を向上する活動に従事。2012年の渡米前は、日本で投資ファンドや重電機器メーカーなどで広報を担当していた方だそうです。ただ、桃江さんも今までQuoraの経営に携わっていたわけではなく、1ユーザーだったとのこと。
確かにQuoraを使ってみると質問をたくさん投下したり、皆の質問にいいねをして回ったりと、コミュニティを盛り上げる仕事はほぼ桃子さんが回しているようです。
2. 宣伝とローカライズは?
ひとつ気になったのは、Quoraのローカライズ戦略でした。アダムや桃江さんも、基本的には「Quora英語版のやり方に合わせて、こちらから大物ユーザーを呼ぶことはせず、まずは少ない人数でも質を上げていきたい」という感じで、具体的に日本でどう宣伝していくのかといったマーケティング面やローカライズについての戦略についての具体的な話はまだそれほど無い印象でした。スタッフが小規模なこともありますが、しばらくは試運転の状態が続きそうです。
3. 議論レベルは上がっていくか?
さて、その質問の質ですが、ベータ版から参加する1ユーザーとしては、現状ではまだまだ専門的な議論が行われているとは言えない雰囲気だなと感じます。そもそも専門的な回答ができる人も少なそうな印象ですが、それ以上に彼らに対して質問ができる人も不足していて、「質問のレベルが回答者に追いついていない」「質問に答えられるレベルの人がいない」というマッチングの問題が多発している印象があります。
Quoraには回答者を指定してリクエストする機能もあるので、まずはユーザー層が厚い分野から少しずつユーザーが協力して質問と回答のレベルを上げていくことが本家に近づく道なのかなと思いました。
まとめ